中村すえ子

『女子少年院の少女たち』

大学入学はどうして

 私、40で大学に入ったんです。実際、それまでの人生って、自分に知識がないのをいつも何か言い訳してきていた……、子どもがいるから出来ない、とかね。でも、やっぱりそれは生きていく上で欲しかったもので――。それでまず出来ない理由を考えるのを辞めたんです。それよりも、出来る方法を探そうと決めた。そこから動き出して。

大学時代、苦労は

 もう大変でしたね。自分が大学に行くと決めたときは、上の子が丁度大学生で。3人の子どもを抱えながら、仕事に映画に大学にと一人奮闘しました。特に大学の最後の2年間は、休みは一切なしで、いつもレポートに追われていた。NPO活動も、もちろん続けていて、足掛け8年間交渉を続けた映画はいよいよ具体化に向かっていた。当時を思うとちょっと混乱するくらいスゴかったですね。

「女子少年院の少女たち」に込めた思いは

「女子少年院の少女たち」を通して伝えたいことは  4人のうち半分は、経済的には割と裕福な家庭なんだけど、大事なことを両親から教わってないというケースで、残りの二人は、もう世の中の当たり前を全然知らなかったんです。

 児童養護施設で育った子は、お母さんが欲しいと思ったことない? と聞くと、他の子のところに面会に来るのを見ると羨ましかった、とだけポツリと言っていた。でも、もうその時点で世間一般のお母さん像と違うじゃないですか。彼女は本当にお母さんというものが家の中でどんな存在かというのを全く知らない子で、会ってすぐ、私にはこの子を理解するのは難しいんだろうなと思った。

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