『女子少年院の少女たち』
彼女には、幼稚園に迎えに来てくれたり、一緒に誕生日を祝ったり、風邪のとき母に看病してもらったような記憶は何一つ無いんです。そういう当たり前の愛情を知らない子が誰かに愛情を与えてあげるなんて出来るわけもない、そう思った。
でも、映画の撮影を通して、そうした愛情は何も親でなくても与えられるんだというのを私も知った。そういう私の内面の気づきも含めて訴えたいと本を書きました。
今の社会は〝自己責任″とか〝無関心″が当然の風潮のように蔓延していますが、登場人物のある少女は、母親と共依存の関係で、その母は薬物中毒なんです。そんな環境で罪を犯して全て自己責任で済ますのは流石に違うと思うし、もっと言えば、その母にも助けの手が差し伸べられたら……、そんな優しい社会を目指したいですね。
(月刊MORGEN archive2020)