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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第12回 神社に移り棲んだフクロウ アオバズク

 夕方から活発に飛び回り、飛んでいる虫を空中で捕らえていました。雛に運ばれた甲虫類やセミ類の餌は、翅が取り除かれ、巣の近くのよくとまる枝の下には、翅が多数落ちていました。朝にそれらの翅を拾い集め、夜に何を食べたかを知ることができました。

 また、雛が孵化する7月に神社の境内にこれらの昆虫の翅が落ちているかどうかで、アオバズクが繁殖している神社か、そうでないかを知ることができました。雛は7月末には巣立ち、8月いっぱいは神社付近で姿を見ることができましたが、以後は見られなくなりました。

神社の境内に移り住む

 アオバズクは、もともと神社の境内に棲んでいた鳥ではありません。縄文時代以前、日本が広く森で覆われていた時代には、標高の低い地域の森に棲み、樹洞で繁殖し、昆虫を餌としていたのでしょう。それが弥生時代以降、稲作が始まると共に、平地の森は伐採され、水田や畑等の開けた里の環境が広がりました。人々は、集落をつくり定住するようになり、集落には政の中心として神社が祀られました。

 アオバズクは、その後何時の時代かに、里の森から神社の境内に移り住んだのでしょう。神社の境内には、御神木として大切にされてきた大木があり、営巣に適した洞が得られ、昆虫も豊富に得られたからなのでしょう。

 神社は、日本独特の宗教観による祭祀施設で、土地の守護神などが祀られ、古い時代から日本人の生活に溶け込んできました。今でも古くからある集落や町には必ず神社が存在します。神社は、日本文化のシンボルなのです。

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