連載「わたしのマンスリー日記」第13回「人は人を幸せにできる! きっと」

【本稿は1月27日、千葉県市原市で開催されるエンジン01文化戦略会議のオープンカレッジの講座「ALS それでも人はなぜ生きる!?」での提案の元原稿です】

恐怖と闘った日々

 その日まで私は風邪一つ引くこともなく元気に仕事をしていました。ところが悪魔のような運命が突如襲いました。6年前の2018年2月19日の夕方のことでした。突然食事が喉を通らなくなり、1週間で体重が10キロも落ちてしまいました。当時はテレビ出演などもあってダイエットを試みていたのですが、1キロ2キロ落とすのも大変な思いをしていました。それなのに1週間で10キロ! これは恐怖でした。自分の体の中で確実に異変が起きている! 最初は膵臓がんを疑ったのですが、簡単な検査でその疑いは晴れました。
 体重を落とさないように毎日水をがぶ飲みしていたのですが、それが原因だったのでしょう。ある晩頻尿が止まらず、翌朝病院の泌尿科に行って診てもらったら前立腺がんの疑いがあると言われ、県のがんセンターで検査を受けたところ、前立腺がんの宣告を受けました。この時期が今考えると最も苦しい日々でした。がんの強い薬を誤って飲んで(飲まされ)意識を失ってスーパーの駐車場で倒れ、救急車で病院に搬送されたこともあります。

歩けなくなる恐怖

 あらゆる病院を回りましたが、どこも原因解明には至りませんでした。当時はまだ放送大学講師、読売教育賞審査委員会座長、中央教育研究所理事長、東京教育研究所所長の他に、つくば市にある筑波技術大学理事などの役職を務めていました。技術大の学長さんは神経内科の医師でもあったので、相談に乗ってもらったのですが、先ず言われたのは「老人で一番怖いのは、歩けなくなることしゃべれなくなることです」ということでした。
 症状はまさに学長先生の言われたように進行しました。500メートル歩けたものが200メートル、100メートルと縮まり、ついに50メートルも歩けなくなりました。一体なぜなんだ! どういうことなんだ?――原因がわからないまま苦悶の日々が流れました。

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