『義足のアスリート山本篤』

鈴木祐子/著

東洋館出版社/刊

本体1,500円(税別)

可叱肥性があれば行動、カ大進するパワーと迫力

 強烈な個性の持ち主。高校時代にスクーターの自損事故で足を失うことになった山本篤さんは、スノーボードの愛好者だった。普通ならそのような境遇におかれれば、先ず絶望感に陥り悲観的な方へと考えが沈んでゆくものだが、彼は違っていた。この先どうやったらスノボを再び楽しむことができるかを考え、可能性があればすぐに行動し突進していくのである。そのパワー・迫力に圧倒された。

 そして、その姿勢があればこそ、人生のきっかけを左右するほどの人物との出会いが待っているのだと思った。人脈を広げるには、自ら積極的に動かなければ得られるものではない。パラリンピックに出場するといっても、多くの人との出会いがあって可能になるビッグチャンス。彼はその才能に長けていたのだと思う。運動ができても、それをサポートする人達との山会いがなくては成功しない。何故多くの重要な人々と出会えることになったか、本書を読み、私自身も彼のような生き方を見習わなくてはいけないのだと感じた。

 人生は一度だけである。すでに歩んできた人生はもう何もできないが、これから先の人生を考えるとき、彼の生き方のように進まなくてはいけないのだと感じた。

 2020年、東京オリンピックがやってくる。前回1964年の東京大会にはなかった、パラリンピックも開催される。本書を読み、漠然とした知識だけだったパラ大会の見方が変わった。五輪とパラの開催地になる私達の国で、彼のような存在がいることを知るのは重要なことではないかと思う。

(評・京華女子中学高等学校教諭 川本 敏郎)

(月刊MORGEN archives2017)

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