• Memorial Archives
  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第1回 ムクドリ

繁華街に塒をとるムクドリ

開けた環境に棲む鳥

 これまで「森に棲む鳥」について31回にわたり解説してきましたが、今回からは新しいシリーズ「野鳥と私たちの暮らし」と題し、開けた環境に棲む鳥について解説します。

 先のシリーズでもふれたように、四季を通して雨の降る日本は本来森の国です。人々が狩猟採集生活をしていた縄文以前の日本列島は、広く森で覆われていました。その森の国が弥生時代以降に始まった稲作により、平地の森が水田、畑、集落に変わり、今日の里や平野部の開けた環境が作り出されました。その開けた環境に適応し、人間の生活と密接に関わって生活してきた鳥が、スズメ、カラス、ムクドリ等に代表される開けた環境に棲む鳥です。

 弥生時代以降、この開けた環境に棲むようになった鳥は、かつて森の国の時代には河川や海岸等のわずかな開けた環境で細々生活していた鳥、森から抜け出し、開けた環境に適応して移り住んだ鳥、さらには大陸から日本列島に新たに入ってきた鳥なのです。

農耕地に適応したムクドリ

 新しいシリーズの最初の鳥として、水田や畑、果樹園等の農耕地に適応したムクドリについて紹介します。この鳥は、農耕地のほか村落や市街地の公園などにほぼ年間を通して棲む、日本ではごく身近な鳥です(写真上)。

続きを読む
1 / 4

関連記事一覧