フクロウ

野鳥と私たちの暮らし第3回 森の賢者 フクロウ

フクロウ研究のきっかけは「スノーレッツ」

 1998年に開催された長野冬季オリンピックのマスコットは、「スノーレッツ」というフクロウに決まりました。そのことをきっかけに、私は研究室の学生と一緒に夜行性のフクロウ類の研究に挑戦する決心をしました。信州大学教育学部の恩師から研究室を引き継いだ頃には、身近な調査しやすい鳥の調査はほとんど終わっていました。私の代になった時には、数が少ない希少な鳥や警戒心の強い猛禽類など、調査が難しい鳥ばかり残されていました。

 日中は休息し、夜に活動するフクロウ類の生態を解明するには、どのようしたら良いのだろうか?わたしは、一番身近なフクロウから調査を始めることにしました。

フクロウの調査開始

 大学周辺の里山から飯綱高原一帯を夜間に車でゆっくり走り、フクロウの鳴き声を聞くことから始めました。その結果、大学のある長野市街地から車で15分の小田切地区で一番よくフクロウの声が聞かれることがわかり、そこを調査地にすることにしました。この地域は山麓に位置し、畑や水田といった農耕地、スギやカラマツの植林地、雑木林とが混在し、その中に集落が散在する典型的な里山環境が今も残る地域です。
 夜の鳴き声からなわばり分布を調査し、生息つがい数を明らかにした後、いくつかのなわばり内に巣箱を設置しました。自然の樹洞の巣は、高いことなどで調査がしにくいからです。翌年には、数つがいが巣箱を使って繁殖してくれました(写真1)。

フクロウ1

写真① 巣箱で育つフクロウの雛。

 

 巣箱で繁殖するつがいを調査し驚いたことは、雛が孵化するころになると、巣の中にたくさんの餌を蓄えていたことでした。多い例では、13匹のネズミを蓄えていました。蓄えていた餌の多くはノネズミでしたが、ヒヨドリなど鳥も蓄えていました。雛のために、あらかじめ餌を蓄えて準備することは、人間が生まれてくる赤ん坊のためにさまざまな準備をするのと似ていますが、鳥では珍しいことです。

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