『18歳までに知っておきたい法のはなし』

法教育の核心は

 「弁護士の仕事ってどうですか」――授業をしていると、よく生徒にそんな質問を受けます。そんなときいつも私はこう答えます。

「どうすれば公平なのかを追い求める職業です」

 絶対的な正義や正解って実は存在しないんですよ。自分に主義、主張があるように、必ず相手にも言い分がある。それを受け止めながら、お互いのための正義と公平を見つけていく……。法教育の目的は、そうした正解のない問いを考える力をつけるところにあります。

 これは実は、従来の学校教育に欠けている部分で、とかく学校では、×か〇で答えが決まる。でも、社会には白か黒ばかりじゃなく、灰色の解決も沢山あるんです。そうした場面に対する解決の鍵が法教育にはある。

法教育で学ぶ思考法とは

 法を知らずに生きると、国や権力に統治されることで生まれる客体意識、つまり受動的な態度が強まります。そして、その思考停止は、多くの不幸を生んでしまう。そうならないよう、きっちりと法を知った上で国民主権を握りしめ、主権者として主体的に生きていく。裁判員裁判もそうだし、選挙の投票行動もそう。

 例えば投票なら、それに繋がる「表現の自由」というのが根幹にあります。誰かに任せるのじゃなくて、自分の頭で考えて、自分の責任で行動する。社会的にコミットしていく。そうすることで必ず人生は豊かになる。

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