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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第14回 喧しくさえずる鳥 オオヨシキリ

夜間もさえずる

 オオヨシキリの雄は、渡来当初には昼間だけでなく、夜にも盛んに鳴きます。その様子を1966年に当時信州大学の学生であった寺西けさいさんが24時間にわたって調査しています。それによると、さえずりは渡来当初のなわばり形成期に最も盛んで、7月6日には夕方の19時30分過ぎに一旦鳴きやんだ後、20時20分に再び鳴きだし、それから夜通し鳴き続け、この日の推定睡眠時間は50分間にすぎなかったとのことです。

 さえずりとさえずりの間隔が1分以内のものを連続的なさえずりとみなすと、一日24時間のさえずり時間の合計652分となり、一日の45.3%をさえずっていることが分かりました。夜間もさえずる意味は、多くの小鳥は夜に渡ってくるので、雄が夜にも鳴いて、雌に自分の存在をアピールするためと考えられています。

 オオヨシキリの大声のさえずりは、他の鳥のようにきれいな声とは言えません。それが渡来当初には昼も夜も鳴くのですから、その騒々しい鳴き声は昔から人々に嫌われてきました。小林一茶は、「行々子口から先に生まれたか」とこの鳥の鳴き声を皮肉っています。

つがい形成と繁殖活動

 雄の渡来から2週間ほど遅れて、雌が渡ってきます。ちょうど雄がなわばりを確立し終えた頃です。雌がなわばり内に入ってくると、雄はさえずりを中断して雌について回り、雌に求愛し、雌に餌を与える求愛給餌も行ってつがいができます。

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