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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第14回 喧しくさえずる鳥 オオヨシキリ

 つがいができて数日すると、雌は雄のなわばり内のヨシなどに巣を造り始めます。巣は数日で完成し、その後2,3日すると産卵が開始されます。卵は毎日1卵ずつ早朝に産卵され、3~5卵、平均で4.5卵を産みます。抱卵は雌のみによって行われます。雌が抱卵に入ったころから、雄は再びさえずりを活発化させます。

 抱卵開始から13~14日間で雛が孵化します。生まれたばかりの雛を温める抱雛をするのも雌です。雄は、子育てをほとんど手伝いません。

一夫多妻の鳥

 オオヨシキリは一夫多妻の鳥です。多い場合には1羽の雄が3~5羽の雌とつがいとなることが知られています。先の寺西さんの千曲川での調査によると、46羽の雄のうち1雄が一夫三妻、6雄が一夫二妻、残りの大半は一夫一妻でした。一夫多妻の雄がいる一方で、雌を得ることのできない単独の雄もいることが知られています。

 ヨシ原のある環境は一様ではありません。雌を複数得ている一夫多妻の雄は、よく茂った水辺のヨシ原になわばりを持っている雄でした。それに対し、藪が混入している乾燥したヨシ原になわばりを持つ雄の多くは、一夫一妻の傾向がありました。さらに、小さなヨシ原になわばりを持つ雄では、雄がさえずっていても、なわばり内に雌も巣も見つからない独身の雄もいました。

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