清々しき人々 第22回 人類史上最高の知能とされる ジョン・フォン・ノイマン(1903ー1957)

天才を輩出するハンガリー

 資産の順位、成績の順位など、人間は比較することに関心があります。その一種として二〇世紀になってから開始された知能の比較があり、知能指数(IQ)が有名です。これは同一年代の人間を対象に同一内容の試験を実施し、最低の点数から最高の点数までを順番に整理して平均点数を一〇〇にすると、八五から一一五の区間に全体の六八%、七〇から一三〇の区間に九五%が存在する正規分布になることを基準に算定しています。

 最近では知能指数を疑問や否定する傾向にありますが、知能指数検査が存在しない時代の天才の知能指数を推定した結果がいくつか発表されています。一例として、G・ガリレイ(一八五)、I・ニュートン(一九〇)、A・アインシュタイン(一九〇)、L・ダヴィンチ(二〇五)、N・テスラ(二四〇)、E・ガロア(二五〇)などですが、様々な推定で一位になっているのが異常な天才ジョン・フォン・ノイマン(三〇〇)です。

 ヨーロッパ中央にハンガリーという国家があります。九〇%近い国民がマジャル民族で、周辺の国々と相違して名前は名姓の順番ではなく姓名の順番で表記します。ここには一九世紀以後だけでも多数の天才が登場し、航空工学の基礎を構築したT・カルマン、水爆の開発に貢献したE・テラー、情報企業インテルを発展させたA・グローブ、ホログラフィを開発したD・ガボールなどが有名ですが、傑出した人物がノイマンです。

幼児の時代から天才

 一九〇三年にハンガリーの首都ブダペストの裕福な家庭に三人兄弟の長男として誕生し、幼児のときから英才教育でラテン語とギリシャ語を習得し、父親と古典ギリシャ語で冗談を交換できるほど語学には才能がありました。記憶能力も抜群で、W・オイケンの執筆した全四四巻の『世界史』を読了し、どの項目も暗唱できたし、C・ディケンズやJ・W・ゲーテの小説も任意のページを一字一句間違えず暗唱することもできました。

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