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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

清々しき人々 第22回 人類史上最高の知能とされる ジョン・フォン・ノイマン(1903‐1957)

 数学にも異常な能力を発揮し、六歳で八桁と八桁の掛算を暗算ででき、微分積分も八歳で習得しています。電話帳の任意のページを一瞥し、掲載されている番号の合計を暗算で計算したという伝説もあります。この時代に、同郷で一歳年上のE・ウイグナーが複雑な計算能力を必要とするクイズを質問したところ、ノイマンは数秒で回答しましたが正解でした。ウイグナーが驚嘆したところ無限級数を計算しただけという返事でした。

 ウイグナーも戦後になってノーベル物理学賞を受賞した天才ですが、この世代に多数の天才がハンガリーに出現したのは何故かと質問されたとき、その質問は間違いで、天才はノイマン一人だと回答しています。しかし苦手な分野がなかったわけではなく、七歳のときに父親がフェンシングを練習させましたが上達しませんでしたし、音楽の家庭教師からピアノやチェロの練習をさせられましたが、これにも関心がありませんでした。

数学教授を驚嘆させた博士論文

 一二歳になって「アウグスト信仰の福音学校」に入学しますが、担任の教師がノイマンの数学の才能に気付き、父親に高度な数学を勉強させたほうがいいと進言したため、ブタペスト大学の何人かの数学教授がノイマンの家庭教師になって数学を教育しました。その結果、一七歳になったときにブタペスト大学の数学教授と共同で論文を執筆し、ドイツの数学学会の雑誌に掲載されています。それでも苦手がありました。

 父親が学校に数学以外の科目も勉強させてくれるように依頼したので、すべての科目を受講します。大半の科目は最高の成績でしたが、習字・体育・音楽は合格すれすれでした。それでも卒業試験は首席で合格しています。一八歳になった一九二一年にブタペスト大学に入学して数学を勉強しますが、父親が実用になる学問も研究させたいと要望したので、ベルリン大学とチューリッヒ工科大学で化学工学も勉強しました。

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