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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第20回 世界的に減少が懸念される鳥 カシラダカ

 カシラダカの減少は、日本だけでなくスウエーデンやフインランドでも同じ時期に起きています。北欧と東アジアの双方で、この30年間に75~87%が減少していることが分かりました。そのため、カシラダカは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に2016年に指定されました。

 減少の原因については、気候変動、越冬地での生息環境の減少や農薬使用、さらに人による「捕獲圧」が疑われていますが、まだよくわかっていません。

普通種の動向こそ重要

 日本人にとってどこでも見られたカシラダカが、知らない間に激減していたのです。このことは、カシラダカのような普通種の動向を見てゆくことの重要性を改めて認識させてくれました。この地球上で鳥が棲みにくくなっていることは、我々人間にとっても住みにくい環境に変わっていること端的に示しているからです。

なかむら ひろし 1947年長野生まれ。京都大学大学院博士課程修了。理学博士。信州大学教育学部助手、助教授を経て1992年より教授。専門は鳥類生態学。主な研究はカッコウの生態と進化に関する研究、ライチョウの生態に関する研究など。日本鳥学会元会長。2012年に信州大学を退職。名誉教授。現在は一般財団法人「中村浩志国際鳥類研究所」代表理事。著書に『ライチョウを絶滅から守る!』など。

(モルゲンWEB 2023 1/10)

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