『中高生のための本の読み方』

 これには、ちょっと面白いデータがあって、文化庁が国語に関する世論調査で、5年に一度読書を扱うのですが、それによれば、日本は10代が一番読んでいて、次が70代だっていうんです。だから、「読書離れ」を問題にするなら本当は20代から60代の読書なんです。

問題の根っこはどこに

 教育の現場から見ると、今の中高生や、20、30代にとって、本を読むのは勉強というような感覚があるように感じます。この国は、結構、勉強を嫌々やる文化圏なので、勉強を読書と結びつけにくくなります。でも、本来、勉強は、まずそれに興味を持つことから始まって、対象にどうアプローチするかという手段なわけで、つまり極めて主体的なものなんです。逆を言えば、そこがないと続かない。

 ただ、最近はフィンランド式の読解やPISA型読解力(OECD[経済協力開発機構]による効果的に社会に参加するための読解力)といった新しい教育方式も取り入れるなど、国語教育の現場も、雰囲気は変わってはきています。

読書の一番の効用は

 大学進学率が6割に近づく一方で、中学、高校で学生生活を終える人たちも沢山います。学校を出た後は、当然、何かしらの仕事に就いて生きていくわけですが、大抵の場合、そこでまた勉強をする必要が出てきます。大学進学後もそうですが、結局、そこから先の勉強は、勉強=本を読む、だと思うんです。

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