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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第8回「虎斑模様のフクロウ トラフズク」

最近の数の減少

 現在では、長野市とその近隣の地域でトラフズクが塒を取っている場所はほとんど見られなくなりました。越冬に訪れるこの鳥の数は明らかに減ってきており、飯山での繁殖確認以後、新たな繁殖も確認されていません。減少してしまった原因は繁殖地にあるのか越冬地にあるのかよくわかりませんが、最近ではトラフズクが塒を取っている場所が見つかると、その情報が広まり、大勢の人が遠方から写真撮影に訪れます。そのことが、越冬地でのこの鳥の減少にさらに拍車をかけているように思います。

 以前、庭木に塒を取っていたトラフズクを農家の人がノネズミを捕える益鳥としてそっと見守っていたという人と野鳥の良好な関係は、現在では崩れてしまっているように思います。

なかむら ひろし 1947年長野生まれ。京都大学大学院博士課程修了。理学博士。信州大学教育学部助手、助教授を経て1992年より教授。専門は鳥類生態学。主な研究はカッコウの生態と進化に関する研究、ライチョウの生態に関する研究など。日本鳥学会元会長。2012年に信州大学を退職。名誉教授。現在は一般財団法人「中村浩志国際鳥類研究所」代表理事。著書に『ライチョウを絶滅から守る!』など。

(モルゲンWEB)

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