野鳥と私たちの暮らし 第31回 白黒鹿の子模様の鳥 ヤマセミ
白と黒のまだら模様が特徴
ヤマセミ(山翡翠・山魚狗)は、体長38㎝ほど、翼を広げると67㎝ほどで、ハトと同じ大きさの鳥です。カワセミと同じブッポウソウ目、カワセミ科の鳥で、大きくまっすぐな嘴をもち、頭には大きな冠羽があり、背中側にある白黒まだら模様が特徴です(写真上:巣穴近くにとまるヤマセミの雌)。雄は、嘴の下の両側と胸の帯の一部が褐色をしているので、雌と区別できます。以前に紹介したアカショウビンも同じ科の鳥で、白黒の鹿の子模様から、カノコショウビンとも呼ばれていました。
北海道から九州の河川や湖に棲息していますが、日本の他、中国中部以南、インドシナ半島北部、ヒマラヤ、アフガニスタンにかけて分布します。
鳥好きの人に人気の鳥
ヤマセミは、同じ科のカワセミやアカショウビンのように色鮮やかな鳥ではありませんが、古くから親しまれてきた鳥で、江戸期の花鳥画にも描かれました。白と黒のシンプルな姿がかえって印象的なのだと思います。80円切手のデザインとして使われたこともあります。また、日本各地の市町村で、市の鳥、町の鳥、村の鳥に指定されています。数が少なく、なかなか出会うことができない鳥で、野鳥好きの人には大変人気のある鳥です
水に飛び込んで魚を捕える
ヤマセミは、水に飛び込んで魚を捕える魚食性の鳥です。水辺の木の枝や岩などにとまり魚を狙いますが、飛びながら魚を見つけ、真上から水に飛び込んで捕えることもします。
大きな魚を捕えると、枝や石にたたきつけて弱らせてから、頭から飲み込みます。
同じく河川に棲む体の小さいカワセミが捕える魚に比べると、体がずっと大きいヤマセミは大きな魚を捕えます。