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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第11回 雷シギとも呼ばれる オオジシギ

 2年目には工夫を凝らし、カスミ網をV字型に2枚張り、その中央にこの鳥の剥製とスピーカーを設置しました。人は、近くに張ったブラインドに隠れ、朝のまだ薄暗い時間に誇示飛翔を開始したら、この鳥の地上でのズビーの鳴き声をスピーカーから流すことにしました。この作戦は見事に成功し、2年目には5羽を捕獲し、発信機をつけることができました(写真下)。

捕獲し、背中に発信機を装着して放鳥した雄。

集団での誇示飛翔

 1年目は、誇示飛翔行動について集中して調査しました。最も活発なのは5月上旬で、いったん始まると平均で20分間ほど、長い場合には90分間続けられました。調査地全体で7個体が誇示飛翔をしていましたが、うち4羽は大谷地湿原で、残り3羽はその近くの湿原と畑でした。1羽が始めると、隣も始めます。朝夕に誇示飛翔が行われる範囲は狭く、個体ごとに決まっており、ほとんど重複がないことから、その範囲がその個体のなわばりと判断しました。

 ところが、日中に行われる誇示飛翔は、これとは異なり、湿原全体といった広い地域を3羽、5羽の集団で飛び回って行われました。

 2年目の調査では、各個体の行動追跡と並行して発信機からの電波の強さを自動的に記録するアクトム解析も行いました。昼間に個体の行動を観察している時にどんな波形となるかを明らかにすることで、夜も含めた一日の行動を解明しました。その結果は、この鳥は24時間活動していて、どの個体も朝夕には比較的活発で、日中の正午前後と夜の12時前後に不活発になることが分かりました。

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