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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第12回 神社に移り棲んだフクロウ アオバズク

巣の洞にカメラを設置して調査

 信州大学に入学し鳥の研究を始めた私は、後に大学で鳥の研究をすることが仕事になりました。しかし、アオバズクを研究する機会は、なかなか訪れませんでした。夜行性のため、行動観察が難しかったからです。フクロウ類の研究に挑戦するきっかけとなったのは、1998年に開催された長野冬季オリンピックのマスコットが「スノーレッツ」というフクロウに決まったことでした。最初にフクロウの研究に挑戦し、次に取り組んだのがアオバズクでした。長野市郊外にある神社で調査することになりました。

 アオバズクは、毎年同じ洞を使って繁殖します。アオバズクが渡ってくる前、洞の中に小型の親指カメラと豆電球を設置し、アオバズクの戻りを待ちました。幸い、この年も同じ洞で繁殖してくれました。最初にしたことは、電球の明るさに馴らすことでした。

 最初は弱い光で短時間明るくし、徐々に時間を長くし、24時間巣の中をカメラで撮影できるようにしました。電源は車のバッテリーを使い、近くに設置したビデオデッキで、抱卵開始から雛が巣立ち終えるまで、24時間毎日連続してビデオ撮影しました。それにより、洞の中でのアオバズクの雌雄の子育ての様子を解明できました。

昆虫食のフクロウ

 最初に分かったことは、アオバズクは昆虫食の傾向が強いことでした。卵を抱く雌に雄が持ってきた餌、また孵化した雛に親鳥が運んできた餌のほとんどは昆虫でした。最も多かったのは、コフキコガネ、シロテンハナムグリ、カナブン、クワガタムシ、カミキリムシ類等の甲虫類で、次はニイニイゼミ、アブラゼミ等のセミ類、カワラヒワ、ムクドリなどの鳥類、さらにコウモリ類も時々餌として巣に運んでいました。

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