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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第15回 極楽に棲む鳥 サンコウチョウ

 人が作り出した里山の開けた環境が広がると共に、スズメやカラス、ムクドリ、カワラヒワ等の開けた環境に適応した鳥たちが大いに栄えてきました。その一方で、森の環境に適応しきったゆえに数が減少しているサンコウチョウなどの鳥は、いずれも個性的な鳥です。個性的で魅力のある鳥ほど我々の身近から失われている現状を知るにつけ、大変残念に思います。

 多様な環境を維持することが多様な生物の生活を支え、多様な鳥たちを身近に見ることを可能にしてくれます。人間中心の生活をこれからも続けるのではなく、身近な生き物と共に棲む生活に少しでも切り替えてゆくことが、我々の生活を一層豊かにしてくれることでしょう。

脚注:写真上(アイキャッチ)・2ともに茨城県那珂市在住宮本奈央子氏撮影。

なかむら ひろし 1947年長野生まれ。京都大学大学院博士課程修了。理学博士。信州大学教育学部助手、助教授を経て1992年より教授。専門は鳥類生態学。主な研究はカッコウの生態と進化に関する研究、ライチョウの生態に関する研究など。日本鳥学会元会長。2012年に信州大学を退職。名誉教授。現在は一般財団法人「中村浩志国際鳥類研究所」代表理事。著書に『ライチョウを絶滅から守る!』など。

(モルゲンWEB)

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