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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第17回 カルガモ 最も身近なカモ カルガモ

 長野市街地にある高校から私に電話があり、大きな鳥が校内で卵を温めているとのことで、見に行ったことがあります。行ってみると、建物に沿って植栽された高さ50㎝程の細長い植え込みの中にカルガモが巣を造り、卵を温めていました。その場所は、生徒たちがたえずその脇を通る場所です。こんな人通りの多い場所でも繁殖していることに驚いたことがあります。

 最近、市街地でカルガモが繁殖するようになったのは、河川などの自然の中で繁殖するよりも、人がたえずいる市街地で繁殖した方が捕食者から安全であることを学習したからと考えられます。しかし、カルガモにとって決して市街地は安全で子育てに適した場所ではありません。

 孵化したヒナを水辺に連れてゆくのは、そこで雛を育てるためです。街中の川の多くは3面張りのコンクリートで固められており、雛の餌となる水草や水辺の草が得られる場所は、今では少なくなっています。

 そんな街中の川に閉じ込められたカルガモの家族を何とかしてくれという電話が私にありました。川に降りる階段のある場所まで家族を誘導し、家族を川から何とか連れ出し、近くの別の川まで移動させた経験があります。その経験から、母親は子育てのことまで考えて巣場所を決めているのかどうか、大変疑問に思ったことがあります。

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