中村すえ子

『女子少年院の少女たち』

中村 すえ子さん(NPO法人「セカンドチャンス!」所属)

 さくら舎刊行の『女子少年院の少女たち』――、それぞれの事情で少年院に入った4人の少女をめぐるドキュメンタリーだ。著者の中村すえこさんは、自身もかつて脛に傷を持った過去から、少年院出身者の自助グループ「NPO法人セカンドチャンス!」に所属する。昨年、長年の活動が功を奏し、前述の4人の少女をテーマに社会に理解を訴えた映画『記憶』が公開。自らメガホンを取った同作に、新たな視点を加えて書き下ろしたのが本作というわけだ。義人に核を訊いた。

社会復帰の経緯は

 どうしようもないほど荒れていた十代のとき、それでも母が自分を愛してくれているのを知ったのがきっかけですね。そんな母を含め、支えてくれる大人がいたことで、少しずつだけど自分の生き方を変えていこうと思えるようになっていった。悪いことからは手を切って生きなおそうと……、それが18のときで。その後、しばらくは子育てに奮闘し、10年が経った30歳の頃に、「セカンドチャンス!」という自助グループの設立に関わることになって。そこからですね、活動に力を注ぐうち、もっと自分に中身を詰めたくなった。

「セカンドチャンス!」への参加はどうして

 NPO立ち上げのとき、言い出しっぺの大学の先生が、どんな研究者よりも君たちの経験が必要だ、と仰ってくれたんです。それまで、自分の過去は人には絶対に話せないものだと思っていたし、実際、言って良かった試しがなかった。それを「その経験が必要」とまで言ってもらえたことで、もしかしたら大事なのはその過去を自分の中でどう生かすかなんじゃないのかな、と思うようになって。で、何かの役に立つならば、じゃあ、やってみようと。

活動を始めて感じたことは

 初めて少年院に行って、女の子たちの前に立って話をしたとき、まさに15年前の自分がここにいる――、と胸に来るものがありました。でも、私はきっかけがあって、信じてくれる大人たちの助けで変わることができた。きっと、それがあれば彼女たちも変われるはずだ、って思って。この子たちに寄り添っていける自分になりたいと強く願った。

映画「記憶」の着想は

しばらく活動を続けるうち、映画に出てくる子たちのような、悪いことをして加害者なんだけど、その前提としてまず被害者なんだ、というのを目の当たりにするようになっていったんです。同時に、そこには貧困や虐待といった、いわゆる社会問題も背景に浮かび上がっていて……。この子たちを単なる加害者として扱っていいものか疑問に思うようになった。少年院から出て来ても、「悪い奴」みたいなレッテル張りをして、それで終わりでいいのかと。そうじゃないだろ、って。もちろん、だからと言って彼女たちが悪いことをしていいわけじゃないし、少年院に入ってちゃんと自分と向き合うのも大事です。でも、社会も変わる必要があるんじゃないかって。それを何かのかたちで社会に発信したくなった。

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