『アナログゲーム療育~幼児期から学齢期まで~』

 でもそれは「人にあったら挨拶する」「悲しい顔の子がいたら『どうしたの』と声をかける」という程度の、こういうときにはこう対応するというパターンでしかなかったんです。

 ところが人事が見るのは、例えば、集団面接なら他人の発言のときの仕草です。いかに周囲に気を配るか――発達障害にとってこれは鬼門なんですね。その解決法と支援システムの構築が必要だ、と思った。

療育法完成までの道のりは

 発達障害者の社会参加の最重要課題がコミュニケーション能力だというのは分かった。と、同時に分かってきたことがあったんです。そうした社会適応能力は、いざ就職となってから職業訓練のようにやるのでは、なかなか身につかない。子どものころからの、子ども同士の関り合いが必要不可欠なんです。

 そこで、まずは子どもたちを知ろうと「放課後等デイサービス」――放課後に障害児が通う教室に入ることにした。そこは毎日10人くらいの子どもが通ってくる教室だった。

 年齢は小学生から高校生と幅広い。まだ言葉が出てこない子もいれば、IQが高すぎて、周りと話が合わないという子もいる。混然と過ごす子供たちを見ながら、いったいどうすればこの子たちに臨機応変な社会性を安全に楽しく学ばせられるか、と考えた。それで着目したのがゲームというツールだった。ゲームを通じてより柔軟なコミュニケーション能力が身につくのではないか、そう考えたんです。

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