• 十代の地図帳
  • 青春の記憶に生きるヒントを訊くインタビュー記事

前田 司郎さん(劇作家・演出家・俳優・小説家)

演劇を始めたきっかけは

 ずっと一人で小説を書いていたので、一人の友達も出来なかったんです。同人活動もしていなかったし、これはいよいよつまらないぞ、と思いだした。そんなとき、たまたま手にしたぴあ(映画、演劇の情報誌、現在は休刊)で、1500円や2000円で見られる芝居を見つけたんです。

 それまで、芝居と言えば最低でも10000円くらいは出さないと見られない縁遠いものと感じていましたが、これなら高校生の自分でも見に行ける—―。早速チケットを片手に、渋谷ジァン・ジァンという小さな劇場に足を運んだわけですが、いざ舞台を見ると、一目でその面白さに心を奪われて。これだけ面白いなら友達もきっと出来る……、とすぐに始めることを決めました。

芝居にはどんなふうに関わろうと

 小説を書いていましたから、当然、作家として参加したいと思っていました。でも問題なのはその世界のことを全く知らなかったんですよ。演出家って何をするんだろう……、とかね。それで、とりあえずその専門の学校に行こうと決めました。

 調べてみると当時は劇作家の学校などはまだなくて、それじゃあとりあえず俳優養成の学校にいこう、となった。高校1年生の時です。ダブルスクールのような形でしたが、かわいがってくれていた祖母に助けられて通って。

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