• 十代の地図帳
  • 青春の記憶に生きるヒントを訊くインタビュー記事

前田 司郎さん(劇作家・演出家・俳優・小説家)

その頃見ていた未来図は

 芝居の学校に通って、先輩たちと話したり芝居を見に行くうちに、どうも芝居では食えないらしい……、とだんだんと気付いて。実家は工場をやっているし、いずれはこれを継ぐことになるかなぁ、なんてぼんやり考えていました。

大学時代はどんな目標を

 両親には、表向きは相変わらず実家を継ぐようなそぶりを見せていましたが、内心、やはり書く仕事で身を立てたい、という想いが強くなっていきました。そんな大学3年の頃、突然、CM出演の仕事が舞い込んだんです。これは意外といけるんじゃないか……、そう思うまもなく、今度はドラマのシナリオの話が入ってきて。

 シナリオは、大学に入って『五反田団』という劇団を立ち上げる以前からずっと書いていたんです。五反田団は、ただで借りられる教室を劇場に、端に寄せた机を舞台に見立て始めた劇団で、はじめ客席は学内の学生ばかりだったけど、その奇抜さ、斬新さが徐々に話題を呼んで、次第に外部の人たちが見に来るようになっていたんです。それを見た業界の人が仕事を依頼してくれたんですね。

今後挑戦したい仕事は

 出来る限り今手掛けている全ジャンルをずっとやっていきたいですね。長く続けていくことが大事だと思っているので。ただ、それには問題もあって、それぞれの仕事が相互作用で良い影響を与え合っているような実感もある反面、一つに打ち込み続けることで生まれる深みが出せていないのではないか、というジレンマもあるんです。どこかの段階で、何かひとつに絞ってやっていくことが必要になるかもしれないですね。

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