• 十代の地図帳
  • 青春の記憶に生きるヒントを訊くインタビュー記事

矢野 喬子さん(元全日本女子サッカー代表、サッカー指導者)

大学卒業後、プロになられます

 大学4年生の春に浦和レッドダイヤモンズ・レディースが声を掛けてくれたんです。他にもいくつかの誘いはあったけど、やっぱり最初に来てくれたのが大きかったですね。浦和は「プロ選手での待遇を考えている」と言ってくれて。でもそれを聞いて両親は反対しましたね。「そんな大それたこと」って。それは私も同じ思いでしたが、プロとして責任を負う事で、より高みを目指すことができるかもしれない、と考えて。で、チャレンジしようと決めた。

プロになって一番変化したことは

 入社当時、プロは私を含めて4人きり。あとは全員が働きながらサッカーをしていたんです。当然、プロの4人は、ピッチに立てば結果が求められるし、お手本となるプレイや姿勢も見せなければいけないんです。大学で色んな代表選手を見てきたけど、プロはその誰とも違って、もっと厳しくやらなければいけない。

 練習中も結果を残すためには何をすべきかをずっと考えて、午前中は体を動かす、個人的な課題に取り組む、午後はチームと連動した動きを高める、というようにテーマを決めて取り組んで。大学の時から考え始めた〈世界基準〉を念頭に真剣に汗を流しました。

2011年のW杯優勝で「なでしこブーム」が訪れます

 それまで全くといって言いほどメディアに取り上げられなかった女子サッカーが、テレビ、新聞で目にしない日がないほど過熱して。サポート企業も増え始め、少しづつ選手たちの待遇も改善されていきました。今(2015年時点)も全体の約8割の選手は、兼業ですが、それも午前中だけの勤務にしてもらったりと、変わりはじめて。

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