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  • 過去に読書と教育の新聞「モルゲン」に掲載された記事からランダムでpickupし紹介。

野鳥と私たちの暮らし 第15回 極楽に棲む鳥 サンコウチョウ

 開発による森林の分断化や細分化が原因とされています。私が信州大学の学生の頃には、長野市街地周辺でもこの鳥が繁殖していましたが、今は全く見られなくなり、より山手の森に行かないと見られなくなりました。

 また、森林の開発が著しくない地域でもサンコウチョウの減少が見られていることから、この鳥の主要な越冬地となっているスマトラ島での伐採による森林面積の減少が関係しているとも言われています。スマトラ島の1932年の森林面積を100とすると、1980年代には70%に減少し、さらにその後の5年間で30%台まで減少しており、その減少時期と日本でのこの鳥の減少時期とが一致しているからです。

減少する身近な個性的な鳥たち

 サンコウチョウは、日本の森の環境に適応し、栄えてきた鳥です。縄文時代以前に平地が広く森で覆われた時代には、今よりももっと多く生息していたと考えられます。それが弥生時代以後、平地の森が伐採されて稲作が行われるようになり、平地に開けた環境が広がると共に生息環境が狭められ、さらに近年の里山の開発と共に減少の一途を辿ってきたのでしょう。

 同様に平地や低山の森を追われた鳥は、このシリーズでも取り上げたことのあるブッポウソウやアカショウビンも同様と考えられます。これらの鳥は、いずれも日本の森の環境にどっぷりとつかり、森の環境に適応しきってしまったゆえに、人による環境の変化についていけなくなった鳥たちです。

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