• 十代の地図帳
  • 青春の記憶に生きるヒントを訊くインタビュー記事

春風亭 一之輔さん(落語家)

落語研究会が始動します

 落語に魅せられて部室を探してみると、都合の良い空き部屋があった。しかも、そこはもともと落語研究会の部室だったというんです。でもそれは20年も前の話で、いまは誰も使っていないとのことだった。それで「じゃあ僕やります」と手を上げて。

 部室に入ると、戸棚には落語の本や辞典、テープがそのままになっている。それを見てふと小学校以来の気持ちがふつふつと湧いて来るのを感じて……。「よし、いっちょやってみるかな」と。

当時好きだった落語家は

 高校のとき好きだったのは立川談志師匠だとか……、でもチケットなんか高くてなかなか買えない。そこで、お小遣いを2、3ヶ月分貯めては、ひとり東京の寄席を目指して、というようなことをしていました。

日芸放送学科に進みます

 そのころはとにかくラジオが好きで、ラジオ制作とか放送作家を目指していた。それで、それならここがいいだろうと選んで。当時はまだ落語は趣味の域を出ていなかった。

大学でも落語研究会に

 ただ、だからといって「落語家になりたい」とは思っていなかったですね。というか、大学の4年間を通して「何かになりたい」と強く思ったことがなかった。執着心がないせいかあまり勉強もしなかったので、ラジオ制作の方でも軽い挫折をしていました。

 ほかの文化部の先輩とお酒を飲んだり、大学時代はそういうことばかりしていた。でもそうしていると良いこともあって、世界が広がるんですよ。映画に本に芝居……、ひとりでいたら出会わなかったことを沢山知りましたね。

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