『世界史講師が語る教科書が教えてくれない「保守」って何?』

 ただ幸い日本は島国なので、グローバリズムに関しては欧米諸国より大分遅れています。今、大事なのは、ヨーロッパやアメリカで国境線を取っ払った結果、何が起きたのかを良く見て勉強することです。ヨーロッパはシリアの難民が大挙して押し寄せ、アメリカにはメキシコを通じて中南米から移民が列をなしている。それによって今、何が起きているか――、ネットで少し調べるだけで膨大な情報が取れるので、まずは現実を知って、そのうえで日本の進むべき道を決めるべきだと思います。

若者に望むこと

 まず、〝親の世話にならないで生きていく″これが凄い大事です。で、そのためにはもちろん、十分な稼ぎが必要で、そのためには一定の知識や資格の勉強が必要になる。それをせずに親や世間の文句ばかり言ったってジリ貧だし、もっと言えばいずれは親も年をとるわけでね。その面倒だってみなきゃいけない。

 これは誰しも言えることで、自分と自分の家族、それに年老いたご両親の面倒を見られるだけの収入を得なきゃいけないんですよ。

 今はコロナとグローバリズムの影響で、大企業すら明日の見えない時代です。〝寄らば大樹″が崩れかけ、一見、自立は難しく見えるかもしれませんが、ネットの普及で大幅に自由が増えたというプラスの面もある。一人ひとりが自立すれば、大きな政府なんか必要なくなる。頑張って欲しいと思います。

もぎ まこと 歴史系YouTuber、著述家、予備校講師。駿台予備学校、ネット配信のN予備校で世界史を担当し、iPadを駆使した独自の視覚的授業が好評。世界史の受験参考書のほか一般向けの著書に、『ニュースの〝なぜ?″は世界史に学べ』シリーズ、『「戦争と平和」の世界史』、『世界の今を読み解く「政治思想マトリックス」』、『世界史で学べ!地政学』など多数。最新刊は『世界講師が語る 教科書が教えてくれない「保守」って何?』。YouTube「もぎせかチャンネル」で歴史と時事問題についても配信。

(月刊MORGEN archives2021)

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