• 十代の地図帳
  • 青春の記憶に生きるヒントを訊くインタビュー記事

鎌滝 えりさん(女優)

ご自身、映画を通して一番伝えたいことは

 物語のラスト、主人公たちは、それぞれの選択をするわけですが、ほんのちょっとの行動が、戦う意志になり、やがて新しい結果を生んでいく……。本当は、何もしないでいる方が楽だし、それでいいのかもしれないけど、少なくとも、行動を起こすことで、何か人間らしさみたいなものをそこに見出すことは出来る。そんな正解のない光景を前に、見た人それぞれが、素直な感想や気持ちを持ってくれればいい。そして願わくば、そこに希望を抱いてくれたら嬉しいですね。

演じる上で難しかった、苦しかったことは

 優樹菜が弟に、ある辛い決断を込めた手紙を書く場面があるんです。それは私が自分で書くことになっていて……。それを書いていたとき、カメラが回ってないのにも関わらず、心がバラバラになってきた。そういう決断をするって凄く心が痛かったというか、優樹菜としてもそうですが、現実にもこういう決断をしてる人がいるんだよな、と思うと、凄く心が痛かったし、苦しかったです。そういう経験をさせてもらって良かったなって。

ご両親はもうご覧に

 母はスゴい喜んでました。共感する部分が多かったみたいで。そういう意味でも、子どもがいる親御さんたちが見ると、もっと感じることがあるだろうし、そういう方々にもぜひ見ていただきたいですね。

不登校や思春期の子どもたちにアドバイスを

 まだそんな、子どもたちに向かってアドバイス出来るような立場でもないですが、私のような道筋の役者もいるんだよって、それを面白がってもらえたら、なんか生き生きしてるな、って感じてもらえたら……。まだまだ旅の途中ですが、女優業と出会って、その楽しみを噛みしめて、今そう思います。そんなふうに希望を感じてもらえるように、これからもこの道を歩いて行きたい。

 私がそうだったように映画には人の心を救う力があります。演じ手として、今度は私が大人の立場で、子どもたちにそういうものを与えて行けるように、頑張りたいと思います。

かまたき えり 1995年、埼玉県生まれ。2012ミス・ティーンズ・ジャパン準グランプリ。世界190ヶ国に配信されるNETFLIXオリジナル映画『愛なき森で叫べ』(監督:園子温、2019)にヒロイン役で出演。ゲーム機PS4の『龍が如く7/光と闇の行方』(2020)の助演女優オーディションでグランプリに選ばれ、キャラクターとして出演。今後も映画・ドラマで活躍が期待される。

(月刊MORGEN archives2020)

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