「わたしのマンスリー日記」第8回 最強にして最速の編集者

 持ち込んだのはこれまで縁のあった出版社を中心に7,8社。いずれも全国にその名を知られた一流どころの出版社です。一応内容的には自信はあったのですが、何せあの『週刊朝日』が休刊に追い込まれるほどの活字離れ・紙離れのご時世。どの出版社も苦慮しています。手を挙げてもらえるかはまさに「神頼み」状態でした。

 その段階で心に決めたことがありました。持ち込んだ出版社はいずれも遜色ない会社ばかり。ならば一番早く手を挙げてくれた出版社にお願いしよう、と。自分で言うのも変ですが、これほど合理的で公平な決断はありません。

 神に祈る思いで企画書と原稿を各社に送ったのは3月20日前後。ストレスがかさむ日が続きました。この企画を通さずして他にどんな企画を通すんだ、という身勝手な強い思いと、そうはいっても出版社にはそれぞれ事情があることだし、という不安が交錯していました。

 しかし、情報は意外なところから飛び込んできたのです。集英社インターナショナルが好反応だというメールが入ったのは3月27日のことでした。これは意外や意外!私はこれまで集英社さんからは本を出したことがなかったからです。集英社と言えば、『少年ジャンプ』の発行元としてマンガ界を牽引してきた老舗中の老舗。かつてマンガ研究に打ち込んだことのある私にとっては夢のような話でした。

 仲を取り持ってくれた某編集者さんからの情報では、翌28日の企画会議で可否が決まるとのことでした。その夜は数十年以上ぶりに、大学の合格発表を待つ受験生の面持ちで過ごしました(笑)。

 集英社インターナショナルから「可」という結論が届いたのは、28日の夕刻遅くでした。

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