「わたしのマンスリー日記」第8回 最強にして最速の編集者

「薬師寺達郎」様

 数日後に担当編集者からメールが入りました。担当の挨拶でしたが、お名前を拝見してびっくり! 何と「薬師寺達郎」様でした。もしやあの薬師寺と縁のあるお方? 返信で伺ってみると、奈良の薬師寺とは関係はなくルーツの大分県にはたくさんある名字なんだそうです。

 私は初対面の人から名前を伺うと、どこの生まれ? ルーツはどこ? と訊くことにしています。地名作家のコミュニケーション術です。日本人の名字はその大半が地名に由来していますので、名字を聞いただけでイメージがどんどん広がるのです。

 薬師寺さんとはこのスタート時点で息がピタリと合っていたと言えるでしょう。ここから薬師寺さんとの共闘が始まりました。

 すでに本文の原稿はそろっているわけですから、その先一冊にまとめるのは簡単だと思われがちですが、さにあらず。実はこの後が一番苦しいのです。本文の原稿を書くより辛いと言ってもいいでしょう。

「長曾我部」問題

 連載原稿は毎月の締め切りという時間的制約もあって、どうしてもファクトチェック(事実確認)が甘くなってしまいます。しかし単行本として世に出すとなると、プロの校正者が入り一字一句チェックすることになります。それと同時に著者と編集者も校正を進めます。それこそ一字一句です。一例を紹介しましょう。

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